なぜ保険を見直したほうがいいの?
「節約をしたい!」と考えるときに、みなさんがすぐ思いつく費用はなんですか?
家計管理に慣れている方であれば、「住居」「車両」そして「保険」も思いつくかもしれません。この3つは、家庭内の出費でもとりわけ金額が大きく、手をいれることで大幅なコストカットが実現するからです。節約になるというのが、見直しをする大きなメリットでしょう。
ですが、見直しは節約のためだけに行うものではありません。
保険は「リスクに備える」ための商品です。保険は法改正や世間の価値観が変化することもあるし、医療の進歩に合わせて治療内容は変わります。ライフステージが変わり、保険を契約したときと生活スタイルが一変していることもあるでしょう。
新しいプランを検討することは、より現状に合った過不足ない保険を選ぶということでもあります。見直しをして「本当にこの保障が必要なのか」と考え、精査するきっかけを持つことで、納得できる保険内容になり、より強固な安心材料になるはずです。
保険を見直すタイミング
保険を見直すと言っても、そう頻繁にチェックをする必要はありません。保険は人生のリスクに備えるためのものであり、新しいからお得というわけではありません。細かく修正するよりも、リスクそのものが変化したときに変更するほうが効果的です。
以下のようなシーンが発生した時には、保険を見直してみましょう。
ライフステージが変化したとき
結婚、出産、マイホームの購入、子どもの独立など、ライフステージが変化したときは、保険を見直す絶好のチャンスです。ライフステージが変わると環境が著しく変化するため、これまでの保険に過不足が生じることがあります。
子どもがいたら、教育費や万が一の際の生活費を工面するために、学資保険への加入や死亡保険の内容見直しが必要かもしれません。
マイホームを買ったら団信(団体信用生命保険)に加入するので、今入っている生命保険の内容と団信の保障が重複することもあります。
子どもの独立など、生活を支えるべき家族が減ったときも、保険を見直すことで節約に繋がるでしょう。
働き方が変化したとき
既婚者であれば、夫婦どちらかの働き方が変化した場合には家計に大きな変化が出るうえ、人生のリスクも変化するので、保険の見直しをするべきポイントです。
例えば、妻が会社員から専業主婦・パートになると、収入が下がります。ここは保険料の削減で節約をはかりたいところですが、万が一夫が亡くなったら生活が立ち行かなくなる可能性もあるため、夫の死亡保障を厚くしておいたほうが安心でしょう。
サラリーマンから自営業者になったという仕事の変化も重要です。
自営業では国民年金に変わり、死亡退職金も出ないため、死亡保障の上乗せが必要になるかもしれません。また、サラリーマンでは受けられた健康保険による傷病手当金も見込めないので、医療保険を増額するかどうかの検討も必要です。
保険料が家計を圧迫しているとき
もし、すでに保険料が家計を圧迫してしまっていて、貯金ができない状況に悩んでいるのであれば、早急に保険の見直しを行うべきです。保険料を落とす方法としては、「死亡保険金の減額」、「終身保険を払済保険へ変更する」、「特約を減らす」といった方法があります。
保険料は家計にとって割合の大きな支出ですが、必ずしも家計圧迫の原因というわけではありません。問題は、保険料が大きいことよりも、家計が立ち行かなくなっているという点です。もし保険内容に問題がなく、これ以上削ることができない場合は、住居、車両、通信費、外食費、交際費など、支出が大きくなりがちな費用を見直してみましょう。保険料の割合は、収入の5〜10%程度であれば、家計が苦しくなるほどではないといわれています。
保険の更新時期
いわゆる更新型の保険は、一定期間で契約更新の時期を迎えます。保険は年齢を重ねるごとに保険料が増えやすいので、継続した場合は保険料が値上がりすることになります。保険料をできるだけ抑えたいと考えていれば、更新時期に見直しをするのがよいでしょう。
まずチェックしたいのは医療保険の内容です。医療の技術進歩はめざましく、最適な治療方法が変化することもあります。新しい保険のほうが現代事情に合っていいるため、新しい保険にするほうが保障内容が充実する可能性があります。
逆に、そのまま継続したほうが良いかもしれないのは「貯蓄型」の保険です。古い保険のほうが予定利率が高い傾向があり、保険料が安く返戻率も高い「お宝保険」もあるので、手放すことで損をしないかどうか、よく考えたほうがよいでしょう。
保険の見直し方
では、どのような手順で保険を見直していけばよいのでしょうか。保険を見直す場合には、「契約内容の確認」、「必要な備えの明確化」、「保険料の予算決め」をしたうえで、契約変更をするかどうか決めていきます。
現在の契約内容を把握する
まずやるべきなのは、現状を知ることです。現在どんな保険に加入しているのか、どういった契約内容で、どこまで保証されているのか調べましょう。保険の内容は、保険証券や約款に書いてあります。以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
- 保険料はいくら?
- 特約の内容は?
- 保険期間や保険料払込期間は?
- 受取時期は?
- 保障額は?
- (定期保険の場合)更新時期はいつ?
- (複数加入の場合)保障内容は重複していないか?
保険で備えたいことを明確にする
ライフスタイルが変われば、当然備えるべきリスクも変わります。保険に何を求めるのか、つまり「何に備えるのか?」というのは、保険を過不足なく契約するうえで重要な質問です。
保障内容を見直して、「どのようなリスクに備える必要があるのか」、「今加入している保険がその保障を満たしているか」、「保障額や保証期間に問題がないか」などを見直しましょう。
例えば以下のように、保険に求めることを言語化してみてください。
- 万が一のとき、少なくとも半年は家族の生活に支障が出ないようにしたい
- 子どもが大学まで進めるように教育資金を備えたい
- 入院・介護・葬儀のときの金銭的負担を軽減したい
当面の生活費を工面したいというのであれば、月ごとに死亡補償金を渡す収入保障保険を視野に入れてもいいでしょう。
教育費であれば学資保険があります。子どもの生活費の確保については際限がないようにも思えますが、「せめて大学4年間分の生活費だけは備えたい」という考えなのであれば、保障額を減額する余地があるかもしれません。
病気や葬儀に備えるのであれば終身保険もいいですが、葬儀に特化した葬儀保険もあります。保障内容が重複しないように、特化型の保険を選ぶというのも一つの方法です。
無理なく支払える保険料の範囲を知る
どんなにニーズに合った保険であっても、月々の保険料で家計が圧迫されてしまっては元も子もありません。保険を見直す際には、今の家計状況でどれくらいの金額を保険料に回せるかという試算も必要です。あらかじめ保険料の上限を決まっていれば、保険の見直し時に「あれもこれも備えたい」という気持ちをセーブできますし、保険の見直しがスムーズに進みます。
保険料を多くしすぎるのも問題ですが、保険料の予算を少なくしすぎることも、家計を守るという意味では問題が生じます。
そもそも、保険に入るのは「自力では手に負えないようなリスクに備える」ためにあります。例えば、病気や怪我の治療費、仕事ができなくなったときの生活費の工面、自然災害でマイホームが崩壊した際の修理費用、事故を起こしてしまったときの賠償金など、いきなり莫大なお金が発生するリスクに備えます。
保険に入らなければ支出はなくなりますが、万が一のときにはまったく立ち行かなくなってしまいます。本当に必要なリスクに備えるために、現在の家計状況でできる範囲で保険料のための予算を設定しましょう。
なお、保険料は年齢を重ねるごとに増えていく傾向があります。保険料の予算を決める際には、年齢とともに保険料は高くなりやすいことも加味して収支計算をするといいでしょう。
保険の契約変更
備えるべきリスクを把握し、現在の契約内容を改め、家計からどれくらい保険料を出すかについても決定したら、契約内容の変更を行います。保障内容を替えるには、特約や保険金を増額させるか、新規加入・解約といった手続きを行うことになります。
保険を見直す際の注意点
保険を見直せば事態が好転するかというと、必ずしもそうではありません。焦って解約や契約をしてしまったばっかりに、以前よりも却って損をするケースもあります。いずれにしても言えることは、保険を見直す際は焦らずに、じっくりと検討することが大切ということです。
すぐに解約しないこと
保険の新規加入をするからといって、今ある保険をすぐに解約してしまうのはもったいないかもしれません。少なくとも、新規加入が決定してから解約するのがいいでしょう。なぜなら、保険には加入条件があって、健康状態によっては加入審査に落ちてしまうこともあるからです。
新しい保険に加入できるかどうか分からないうちから焦って解約をしてしまうと、保険に加入していない期間ができてしまいます。その間に何かが起きても保障の対象外となってしまうのです。保証期間にブランクがないように、解約は慎重に行いましょう。
転換は慎重に
保険の見直しをする際に、「転換」を利用するかどうか聞かれることがあるかもしれません。転換とは、現在の契約で積み立てた金額を転換(いわゆる下取り)して、新しい保険の一部にあてる制度です。ただし、転換をして得になるかどうかをきちんと調べなくてはいけません。転換すると古い契約の方から返戻金がもらえなくなりますし、利率が下がってしまう可能性もあるからです。転換をするメリットがあるかどうかを慎重に検討しましょう。